2013年02月11日

無線局の検査制度

無線局の検査制度については、過去何度か書いたことが
あったと思う。
無線局の検査には「落成検査」「変更検査」「定期検査」
「臨時検査」の4種類があって、このうち「臨時検査」を
除いた3種類の検査に「登録検査等事業者制度」が利用可能
になっている。

一昔前まではこの制度は「登録点検事業者制度」と呼ばれて
広く利用されていた。
平成22年に電波法体系が放送法と同時に大きく改変されて
それにともなって、無線局の検査制度にも変更が加えられた。
その一部が「登録検査事業者制度」である。
従来の点検事業者制度では、民間の登録された事業者が無線局の
「点検」を行うことができる、とされていた。
この「点検」とは無論、無線局の点検を行える、ということで
あるが、あくまでおこなえるのは「点検」であって、それは
忠実に無線局の状態を点検して、無線局の免許人に通知する
というものであった。言い換えれば、点検事業者には判断する権限は
無いということであり、あくまで判断は点検結果を免許人より
受領した「国家(総務大臣等)」が行うという点は、点検事業者
制度発足前の官憲による検査制度と変わりはなかった。
(点検は民間、判断(判定)は国家という役割分担ともとれる)

しかし、検査事業者は題目通り「検査」を行うことができる。
この場合、検査とは「点検」と「判定」という二つの区分に分ける
ことができる。
「点検」とは従来通り無線局の状態を確認する作業であり
「判定」とはその結果を法令に照らして、合致しているか否かを判断する
作業である。
つまり、従来官憲が行っていた、判断作業も民間事業者が行うことが
できるというものである。

検査事業者に登録されるには点検事業者に登録されるよりもレベルの
高い基準が求められる。
その意味は、検査まで行わせるにはより強い社会的責任と、知識技術能力が
担保されなければならないという現れである。
第一に、登録時に役員の経歴や、組織の謄記に係る書類の提出が義務づけられる
そして判定を行うことができる「判定員」の要件には、点検を行う資格者である
「点検員」よりも厳しい資格が求められるのである。
そして、検査事業者には登録の期限が設けられていて、その期限は政令で
「5年」とされている。この期限到来時までに「更新」を行わなければ、登録は
失効する。

さて、前述の検査であるが、どんな無線局にもどんな検査種別にも行う
ことができるのかというと、そうではない。
検査可能なのは「人の生命又は身体の安全の確保のためその適正な運用の
確保が必要な無線局以外の無線局」であって、なお且つ「定期検査」に
限って検査を行うことができる。
この「人の生命又は身体の安全の確保のためその適正な運用の確保が必要な
無線局」とは「基幹放送局」「航空機局」等々、従来から重要とされてきた
無線局である。※登録検査等事業者等規則15条に列記
これらの無線局には検査を行うことはできず、従来通り点検を事業者がおこない
国家が判断するという手順を踏むことになる。
検査の方法も規定されている。点検結果を法令に照らしてそれが法令に適合
しない場合「否」と判定し、工事設計が法令に適合しない場合「不適合」と
判定するということが、判定の方法である。
つまり、判定とは机上で行うことをさしており、もちろん判定員は法令の規定
(無線従事者の資格要件や、備え付けるべき書類(省略が可能な条件に関して
 も)、無線設備の特性に関する許容範囲等々に関して熟知する必要がある。
後述の検査結果通知書には「検査年月日」の記載欄があるがこの日付は「判定を
行った日」を記載することになっている。
尚、判定員は点検員を兼ねることが可能である。(上位資格)

「検査」をおこなった検査事業者は「検査結果証明書」を免許人に発行する。
この証明書を受領した免許人は総務省に対して「無線設備等の検査実施報告書」
を提出する。この書類の内容に「否」が1項目もなく、尚且つ工事設計が合致
している、ことが確認されると、免許人に対し「無線局検査省略通知書」が発行され
定期検査が省略される。※電波法施行規則39条2項


このように、無線局の検査制度は民間事業者への「委託」から権限の移行まで
行われており、当然それにともなって、民間事業者の社会的責任も大きなものに
なってきている。点検のみに関しても同じことが言えるが、この制度の根幹に
あるのは民間事業者のモラル、コンプライアンス意識であって、これを踏み
にじれば、一昔前取り沙汰された「確認申請制度」の二の舞を招きかねないことは
プロである事業者、判定員、点検員一人一人が強く意識すべきである。
また、行政は事業者に対しての監視や、啓蒙を怠ってはならないのであって
「民間にお任せ」という安易な考えは危険であり、積極的に「現場」を理解する
ことが重要になってくることは、自明であると言える。
posted by 空条錠太郎 at 01:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 資格 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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